2025.10.01
炎の乱舞、鞍馬の火祭と由岐神社
厳しい暑さもようやく和らぎ、秋の風情が漂う京都の10月が始まりましたが、
まだまだ日中は気温が高く朝晩の冷え込みとの寒暖差が体にこたえます。
今月は秋にぴったりな由岐神社の例祭「鞍馬の火祭り」をご紹介したいと思います。
京都市の北部に位置する鞍馬の地は、
鞍馬寺を中心に門前町が栄え、100年以上の歴史を持つお店などが立ち並ぶ情緒あふれるエリアです。
鞍馬エリアの中心となるのは「鞍馬寺」で、1200年以上の歴史を持ち、多くの伝説が残る寺院です。
パワースポットとしても知られ、現在も多くの人が訪れています。
「鞍馬寺」は、770年に鑑真和上の弟子である鑑禎(がんちょう)上人によって開創されました。
夢の中で聞いたお告げに従い鞍馬山に登った際、鑑禎上人は鬼女に襲われましたが、
毘沙門天に助けられます。そこで毘沙門天を祀る草庵を建てたことが、「鞍馬寺」のはじまりと言われています。
そんな鞍馬寺の境内・九十九折(つづらおり)参道の途中に位置する「由岐神社」は、
元は京都御所に祀られていましたが、都で大地震・天慶の乱が起きたため、
当時の朱雀天皇により、940年(天慶3)鞍馬の地に遷宮をし、北の鎮めとしました。
国家の非常時や天皇の病気の際に、社前に靱(ゆき、矢を入れる武具)を掛けて平安を祈ったことから、
靱明神や靱神社と呼ばれていましたが、その後、現在の名前に改められました。
様々なご利益がある神社として古くから信仰され、御祭神は商売繁昌・縁結びの神様です。
境内に鎮座する狛犬は子供を抱いている珍しいもので、子孫繁栄・子授・安産の神様、また「鞍馬の火祭」から
火災除けの神様としての御神徳があると言われています。
また、鳥居を抜けて門をくぐると、御神木の大杉が視界に入ってきます。
境内でとりわけ目立つ杉の大木は樹齢が約800年、高さ約53mという大きさ。
「大杉さん」と呼ばれ、一心に願えば願いが叶うと言われており、京都市天然記念物に指定されている貴重なものです。
そんな由岐神社を語る上で欠かせないのが毎年10月22日に行われる「鞍馬の火祭り」です。
940年に由岐神社が創建された際、御神霊を迎えるために町衆がかがり火を焚いたことを起源とし、
以来千年以上にわたって受け継がれてきました。
祭りの夜、鞍馬の町は一変します。
18時頃に各家のかがり火が灯され、幼児が持つ小松明、少年が持つ中松明、と小さい松明から順に点火され、
「サイレヤ、サイリョウ」の掛け声とともに町内を練り歩き、最後に大松明が点火されます。
松明を担いだ若者らが掛け声とともに町内を練り歩き、20時頃、鞍馬寺の山門前の石段に松明が集合。
21時頃には200本近くの松明が山門前の石段に集まると、掛け声が大合唱になり祭りはクライマックスへと移行します。
「注連縄切りの儀」が執り行われると若者達は由岐神社に向けて駆け上り、松明は石段下で焼かれます。
次に行われる「チョッペンの儀」は山門の石段で二人の青年が神輿の担い棒に逆さの大の字形になって下る、
大変危険を伴う儀式ですが、鞍馬の成人儀礼の名残だそう。
神輿が町内を練り歩き、御旅所に戻って0時過ぎに祭りは終了します。
火の粉が上がる大小の松明を持った人々が山門前の石段に集まる姿は勇壮そのもの。
色付きはじめた鞍馬の紅葉とともに、闇夜に浮かぶ炎の乱舞は目に焼き付けておきたい情景です。
ぜひこの機会に鞍馬の地へ訪れてみてはいかがでしょうか。
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