2024.12.01
西と東で500年続く年末の伝統行事「煤払い」
ついに12月に入り、寒さも本格的になって参りました。
今年は異例の暑さが続き、つい最近まで昼間は暑い日が続きましたが、
もう師走とは1年がとても早い印象です。
それも今年は秋と言える季節がほぼなかったことにあるのかもしれません。
年末といえば、そろそろ大掃除をしなくてはと考えている人も多いのではないでしょうか。
京都では年末恒例の行事の一つとして西本願寺、東本願寺の「煤払い」の行事があります。
テレビのニュースで煤払いの様子が流れてくると「もうそんな時期か」と年の瀬を実感するものです。
本日はそんな「煤払い」の伝統行事を行う「西本願寺」と「東本願寺」についてご紹介したいと思います。
「西本願寺」は京都駅から歩いて15分程度、梅小路京都西駅から徒歩10分のところにあります。
「東本願寺」は京都駅から歩いて7分程度のところにあり、「西本願寺」から東に少し歩いたところに位置しています。
どちらのお寺も非常にアクセスの良いところで、近隣には京都水族館や京都タワーなどがあり、
京都でも人気のスポットに位置しています。
親しみを込めて「お西さん」「お東さん」と呼ばれていますが、
西本願寺の正式名称は「龍谷山 本願寺」、東本願寺の正式名称は「真宗本廟」です。
どちらも信仰は日本の仏教宗派の中で最多の信者数を誇る浄土真宗の寺院で
宗祖を親鸞聖人とする浄土真宗の本山です。
しかし両寺は同じ様に見えても、宗派に違いがあり、
西本願寺は「浄土真宗本願寺派」、東本願寺は「真宗大谷派」となります。
どちらも同じ浄土真宗の教えに則っていますが、
親鸞聖人の命日に行われる法要を行う日や、阿弥陀堂と御影堂の位置、
更にはお経の詠み方や数珠のかけ方、仏壇など細かな部分に違いがあります。
始まりは1272年(文永9年)、宗祖・親鸞聖人の末娘覚信尼と親鸞を尊敬する門徒たちが
京都の東山大谷に建立した廟堂に始まったとされています。
第3代覚如上人のときに本願寺と公称され、第8代蓮如上人の尽力により大教団に発展しました。
「阿弥陀如来の前では全ての命は等しく尊い」という思想は、当時多くの庶民に支持され急速に発展していきました。
しかし、浄土真宗が人々に広まると、権力者は一向一揆の原因となる脅威として排斥しました。
当時の体制にとって「阿弥陀如来の前では全ての命は等しく尊い」という思想は危険だったのです。
第11代顕如が率いる大坂石山本願寺の門徒集団は、戦国時代最大の宗教的武装勢力となり、
天下統一を目指す織田信長と激しく対立します。
あの織田信長が10年以上攻め続けるも難攻不落の本願寺を降伏させることができず、最終的に和睦を求められます。
その際、宗派の中で、和睦賛成波と徹底抗戦波の派閥に分かれてしまい、後の本願寺分立(西本願寺、東本願寺)の遠因になります。
その結果、和睦を決めた顕如率いる西本願寺(浄土真宗本願寺派)は
豊臣秀吉より七条堀川に土地の寄進を受け、御影堂と阿弥陀堂を建築し、現在の西本願寺になりました。
また、徹底抗戦を主張した教如率いる東本願寺(真宗大谷派)は、徳川家康に接近し、七条烏丸に寺の寄進を受けました。
これが現在の東本願寺となりました。
これにより江戸時代初期、西本願寺と東本願寺は対立し、お互い敵対するような関係となりました。
これは、当時日本最大の集団であった浄土真宗の勢力を弱めるために、
徳川家康が両派が対立するように画策したという側面もあると考えられています。
しかしながら、江戸時代後半になると両派の対立は和らぎ、
現在では、浄土真宗の真宗十派で構成される「真宗教団連合」が結成されるなど、
真宗各派の協調・連携を図るという目的で、両派間でも盛んに交流が行われているようです。
そんな歴史のある西本願寺、東本願寺では両寺共に年末になると
1年間溜まった埃を払い、新年を迎える準備をしようと行われる「煤払い」が12月20日に行われます。
この行事は500年以上も前から行われている伝統ある行事で、
90cmほどある煤竹(すすだけ)と呼ばれる棒で畳を叩き、埃(煤・すす)を舞い上がらせ、
大きなうちわで舞い上がった煤を外へ扇ぎ出します。
近隣住民から観光客まで毎年様々な人達が参加する人気行事で、
数百畳もある本堂の畳を総勢300名ほどの人により行われる様子は圧巻です。
参加は無料となりますので、是非年末のこの機会に参加してみてはいかがでしょうか。
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