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お知らせ

2024.08.01
お盆前に精霊をお迎えし、送り火で送り出す六波羅蜜寺の萬燈会

立秋を前に、まだまだ暑さ厳しい毎日が続いております。
祇園祭が終わって8月に入り、暦の上では夏終盤を迎えました。
京都ではお盆の季節に差し掛かり、毎年恒例の五山の送り火の準備が始まっています。
毎年観光客で賑わうこの時期ですが、
今月はそんなお盆の時期にぴったりなお寺「六波羅蜜寺」をご紹介したいと思います。

「六波羅蜜寺」は少し前に取り上げさせていただいた建仁寺から南へ徒歩5分ほどの場所、
京都市東山区にあるお寺です。
天暦5年(951)、醍醐天皇の皇子・光勝空也上人が建立した真言宗智山派の寺院で、
民間における浄土教の先駆者と評される空也上人が開いたお寺です。
平安時代以降、六波羅蜜寺の東方(清水寺南側辺)には鳥辺野と呼ばれる葬送地が広がっていたそうで、
お寺の近くには六道珍皇寺の門前「冥界への入口」とされる「六道之辻」の碑が佇んでいます。
諸説ありますが「六波羅(ろくはら)」は「髑髏ヶ原(どくろがはら)」が転じたという逸話があるなど、
「あの世」の近くであることを覗わせる逸話が今に伝わっています。

境内にはあの平清盛公の供養塔とされる塚が立っています。
かつて六波羅の地には平家の邸宅群が並んでいたそうで、
清盛が住んでいた六波羅殿をはじめ、往時には一族郎党5,000を超える邸宅があったといいます。
栄華を極めた平氏政権が「六波羅政権」とも呼ばれたように、
かつてこの地は日本の中心であったと言っても過言ではないかもしれません。

非常に広大な敷地を誇ったという六波羅蜜寺ですが、火災などにより消失し、
寺域も大幅に縮小したそうですが、室町時代に建てられた本堂は火災を免れ、創建当時のものが今にも現存しています。

本堂中央の厨子に収められている「十一面観音立像」(国宝)のご本尊様は秘仏であり、
通常は拝見することができませんが、12年に一度、辰年にご開帳されます。
辰年というと今年がまさに辰年です。
公式HPによりますと、今年の11月から1ヶ月ほどの期間でご本尊様のご開帳を行う予定とのことですので、
貴重なこの機会に是非足を運んでみてはいかがでしょうか。

また六波羅蜜寺いえば、かの有名な空也上人像のお姿です。
キャンペーンのポスターなどに起用されたり、教科書で見た!という方も多いのではないでしょうか。
口から6体の仏様が出ているなんとも不思議なお姿です。
空也上人が唱えた「南、無、阿、弥、陀、仏」のお念仏六字が、阿弥陀様の姿に変わったという伝承を再現したものだそうです。
かつては正面からしかそのお姿を拝めませんでしたが、
2022年に新しくオープンした令和館では横からもじっくりと拝見することが可能になりました。

そんな六波羅蜜寺ではお盆の季節になりますと、
萬燈会と呼ばれる祖先の精霊をお迎えする行事が行われます。
本堂内の数多くの燈明を「大」のかたちに点火し、七難即滅、七福即生を祈願すると共に
ご先祖の精霊をお迎えし追善回向する行事です。
これは空也上人以来の伝統行事だそうで、五山の送り火の原型とも言われているそうです。
萬燈会で迎えられた精霊は、16日の「五山の送り火」によって送られます。
この3日間は本堂の外の境内にも数多くの灯明が点火され、一帯が優しい光に包まれ、幻想的な雰囲気が漂います。

公式HPによりますと今年の萬燈会も8・9・10日の3日間で行われるとのことです。
お盆のこの時期に故人に想いを馳せながら、厳粛な中にも心温まる夏の行事に
是非足を運んでみてはいかがでしょうか。

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