2022.08.01
冥界への入口!京都の盆の始まりを伝える六道珍皇寺
8月に入りました。
3年ぶりに祇園祭が無事執り行われ、祇園祭が終わると京都の夏が始まります。
今年は異例の速さでの梅雨明け宣言となりましたが、
本当に梅雨は明けたのだろうかと思うような、雨や猛暑が続く異様な天気が続きましたね。
しかしやっと、セミの声が聞こえ出す本格的な夏がやってきました。
8月といえば日本の夏の伝統行事でもある「お盆」、
地域により期間は様々ですが、京都でも各寺院で供養の行事が行われます。
その中でも今月は「六道さん」で親しまれる「六道珍皇寺」をご紹介したいと思います。
六道珍皇寺(ろくどうちんのうじ)は、盂蘭盆(うらぼん)に先立つ8月7日〜10日に行われる
祖先の精霊を迎える行事「六堂まいり」が有名なお寺です。
「六道」とは仏教用語で死者が転生するところを指し、
地獄道、餓鬼道、畜生道、修羅道、人間道、天上道の六種類の冥界のことを言います。
期間中はあの世にまでその音色が届くと言われる梵鐘「迎え鐘」をうって精霊を迎えることから
京都の盆の始まりはこの「迎え鐘」で始まると言われているそうです。
六道珍皇寺の創建は定かではありませんが782年〜805年ごろだと言われています。
奈良の大安寺の住持で、空海(弘法大師)の師にあたる慶俊僧都が珍皇寺を建立しました。
その後、嵯峨天皇に仕えた平安初期の官僚、小野篁(おののたかむら)の寄与により堂塔伽藍が整備され、六道寺とも呼ばれました。
時代の流れの中で一度は焼失しましたが、
貞治3年(1364年)建仁寺の住持、聞渓良聰により再興・改宗され現在に至ります。
現在は臨済宗建仁寺派の寺院として親しまれています。
仏教では、人は因果応報により死後は六道を輪廻転生すると教えがあるので、
この世とあの世の境である六道の分岐点が六道珍皇寺で、冥界への入口だと信じられてきたのです。
その背景には、お寺の建つ場所が、鳥辺野と言う京都でも一番規模の大きい葬送地への道筋だったこともあり、
この地で「野辺の送り」が行われたことから人々は世の無常を感じたのだと推測できます。
また、本堂裏にある「冥途通いの井戸」には不思議な伝説があり、
小野篁(おののたかむら)が毎夜井戸を通って地獄に降り、
閻魔大王のもとで裁判の補佐をしていたと言う伝説が数多く残されています。
無実の罪で地獄へ落ちた人を救ったり、捌きの助言をしていたと伝わっています。
平成23年、隣接民有地(旧境内地)内から篁が冥界から戻るのに使ったという井戸も発見され、
こちらは「黄泉がえりの井戸」と呼ばれています。
現在、全国でも過去最多の感染が確認されているコロナウィルスの感染状況もありますが、
現段階では六道まいりが三年ぶりに例年通りの通常開催が予定されているそうです。
残念ながら六道まいりの期間は一部施設のみの拝観に限られるとのことで、堂内や冥途通いの井戸などを
拝観されたい方は特別拝観の期間に訪れることをお勧めします。
感染予防措置を十分に取りながらぜひこの時期に訪れてみてはいかがでしょうか。
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